窒素肥料は20世紀に農業システムの生産力を飛躍的に高めましたが、合成窒素の一部は収量を増やしますが、植物によって利用されなかった窒素は計り知れない問題を引き起こします。
ほとんどの窒素肥料は土壌の有機物を科学的に破壊します。
窒素は地下水浸透し最終的に河川に流れ着くと、水の華と呼ばれる藻類の大繁殖やデッドゾーンと呼ばれる酸欠海域を発生させます。
二つの現象は世界500か所で見つかっています。
窒素濃度の上昇は魚の大量死の原因にもなります。
亜酸化窒素は、二酸化炭素の298倍も協力な温室効果ガスです。
適切に肥料を管理すれば、施肥効果が向上し、やがて亜酸化窒素に代わる可能性を減らせます。
効果的な肥料管理の4つは【4R】として、Right Source(適切な養分源)、Right time(適切な時期)、Right place(適切な場所)、Right rate(適切な量)です。
おそらく肥料由来の亜酸化窒素の排出に対処するうえで最も重要なことは【適切な量】です。
多くの場合、生産者は推奨量よりも多く肥料を与えます。その結果、農業では適量をはるかに超えて肥料を施すのが常になり、ますます亜酸化窒素が排出されやすくなります。
肥料の量を減らせば排出を制御できるという知識があったとしても、農家は必要量以上に施肥し、肥料販売業者から得た情報を優先する傾向があります。
窒素肥料の価格は生産者の多い地域では比較的安価に据え置かれ、補助金対象になることもあります。
適切な肥料管理が採用されるには、教育と支援、そして農家への推励策、農家が施肥できる量を制限する規制強化が必要です。
アメリカン・カーボン・レジストリ(ACR)は、研究者と協力して施肥量の削減を対象にしたカーボンオフセットの方法を開発しています。
施肥量を削減した農家が最終的に支払いを受けることができる仕組みです。
肥料関連の規制はばらつきが大きく、規制を定めて守らせることは困難です。
中国では、自給率と食糧安全保障の国家目標があり、サハラ砂漠以南のアフリカなどは国民への十分な供給を確保するために、肥料をもっと多く使わざるをえないかもしれません。
2017年現在、合成窒素肥料への依存度を下げたのは、デンマークとオランダの二か国だけです。
国連食糧農業機関(FAO)と世界銀行は、すべての国の肥料消費についてすぐれたデータを発表しており、ほどんどの国で過去10年間の肥料使用量が着実に増えています。
国連環境計画(UNEP)の推定では、肥料の使い方が20%改善されれば、2,000万トン以上の窒素肥料が不要になり、5兆円から43兆円が節約される見込みです。
肥料管理が気候にもたらす利益はより持続的で、飽和状態になるおそれはありません。
肥料の使用量を減らせば永久に排出を回避することになるのです。
しかもこの解決策の実行は新技術投入など必要なく、農家が単に投入量を適度に減らすだけでよく、非常に単純です。
2050年までの成果ランキング65位
CO2削減 1.81ギガトン
正味コスト データ変動が大きすぎて算定できず
正味節約額 10.95兆円