環境保全型農業を実践する農場に「鋤(すき)」は存在しません。
畑を耕して反転して上になった土から水分が蒸発され、土中に蓄えられていた炭素が大気中に放出されることもあります。
そして、逆に土の養分が乏しくなり、生命力が低下してしてしまう可能性があるのです。
環境保全型農業は3つの根本原則に従います。
・土壌攪乱(かくらん)を最小限におさえる。
・地曳植物を維持する。
・作物の輪作を管理する。
化学肥料や農薬を使う時点で、環境再生型農業とは異なります。
南米、北米、オーストラリア、ニュージーランドでは盛んに行われています。
農家がすぐに採用できることができ、さまざまな利点を実感できるというのが理由です。
農家は土を耕さず、そのまま土に種をまきます。
収穫後は保護するために作物残渣を残すか、被覆植物を育てます。
保水性があれば畑は干ばつに強くなり、養分保持は土壌肥沃度の向上につながり、肥料の投入量も減らせます。
そして、採用した農家はコストダウン、収量量・収入の増加を経験します。
西洋諸国では、除草剤や遺伝子組み換え作物を多用しているという評判もあります。
環境保全型農業で隔離される炭素は多いとは言えません。
平均すると1ヘクタールあたり1.25トンです。
しかし、世界中で一年行われ合計すれば、農業生産の圧倒的多数を占める分野を温室効果ガスの正味排出源から正味炭素吸収源に変えることができます。
また近年増加している、長期干ばつや豪雨など気候異常に対する土地のレジリエンスも高めるので二重に価値があります。
農家に対して教育、物的支援、経済的支援を行うプログラムが広がれば、さらに何百万人もが環境保全型農業を採用し、その恩恵を受け、炭素貯蔵庫として農地の力を強化できるでしょう。
2050年までの成果ランキング16位
CO2削減 17.35ギガトン
正味コスト 4.01兆円
正味節約額 226.84兆円